おねしょと夜尿症との違いは?病院へ行った方が良いのはこんな時!

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子供のおねしょで頭が痛い親御さんも多いと思いますが、おねしょが原因で起きた痛ましい事件をご存じでしょうか。

2017 年 2 月フランスで、 5 歳の男の子がおねしょをしたことで母親( 22 )と継父( 30 )から虐待を受け、路上で心不全を起こして亡くなるという事件がありました。

寒空の下、おねしょをした「罰」として、靴下とパンツだけで数キロも走らされたのです。

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こうした痛ましい事件を繰り返さないためにも、夜尿症に対する正しい知識を学び、正しい対処法を広める必要がありますね。

今回は、幼稚園の講演で専門医の先生から話を聞きましたので、ちょっと頭痛とは違う記事を書いてみました。

参考動画:

世界夜尿症DAYメッセージ動画(ロングVer)
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「世界おねしょデー」とは!?

世界には「おねしょ(夜尿症)」で悩む子どもと親がたくさんいます。

「おねしょは恥ずかしいこと」「親の教育の問題」などという誤った考え方のために、なかなか医療機関に相談できない人も多いです。

誰にも相談できずに夜尿症に悩んでいる人々が、できる限り早くその悩みから解放されるよう、啓発の意味を込めて2015年10月17日、 「世界おねしょ(夜尿症)デー」が制定されました。

2017年には、5月30日に世界各地で疾患の啓発を目的としたイベントが行われました。

おしっこが出来るようになるプロセスとは?

生後間もない赤ちゃんは、身体が未発達なため、24時間好きなときにおしっこをします。

これが、2~3歳になると、膀胱も発達していき、「尿意」を感じて自分でおしっこが出せるようになり、4~5歳までに排尿機能は整うので、夜に尿意を感じても意識的に朝までおしっこを我慢できるようになり、おねしょもなくなっていきます。

しかし、排尿に関わる器官の成長が遅れたり、器官の働きに異常があったりすると、おねしょが長引く場合があるのです。

おねしょと夜尿症の違いとは?

「おねしょ」と「夜尿症」は、どちらも寝ている間に無意識に排尿してしまうことを指しますが、「年齢」によって呼び方が異なるのです。

乳幼児期のおもらしは「おねしょ」と呼び、5~6歳以降も1ヶ月に1回以上のおねしょが3ヶ月以上続く場合は「夜尿症」と呼ばれます。

夜尿症の子どもの割合は、5~6歳で約20%、小学校低学年で10%、10歳児でも5%とされており、意外と多いことがわかります。

おねしょくらいで病院に行ってもいいの?

おねしょをする子の親の気持ちは、「怒り」や「失望」、「イライラ」が7割を占めると言われます。

どうしても「おねしょは恥ずかしいもの」「親の教育が悪いから」という考えが根強く、「おねしょくらいで病院に行っていいのかとわからない」という人もおり、なかなか医療機関に相談に行かない親が多いです。

風邪や虫歯の治療が優先で、経済的にもおねしょの治療は後回しになりがちです。

実際、どのタイミングで治療に行けば良いのでしょう。

4歳のうちはまだ身体の発達が追い付いていないだけで、「おねしょ(一週間に数回、無意識に寝ている間に排尿してしまうこと)」の範囲と言えるので、まだ病院にかかる必要はありません。

しかし、5歳を過ぎたおねしょは「夜尿症」と診断されるので、病院に行くべきです。

「夜尿症」は保険が適用されるので安心です。

あまり知られていませんが、実は夜尿症の患者は全国に78万人いると言われています。

これは、ぜんそく患者より多い数ですが、その78万人のうち実際に病院に行くのは20万人で、治療までたどり着くのは10万人程度とみられています。

夜尿症は放置してもなかなか良くなりません。

一般的な病気と捉え、積極的に病院へかかりましょう。

おねしょ(夜尿症)による二次的問題とは?

夜尿症という病気は、死亡例こそありませんが、当事者にかかるストレスはかなり大きなもので、いじめや両親の不仲と同じくらいのストレスが加わると言われています。

夜尿症を持っていると、自尊心や自己肯定感が下がりがちです。

夜尿症でない子と比べると、夜尿症の子の方が学力も低い傾向にあり、夜尿症をきっかけにイジメ、不登校など「二次的問題」につながる場合もあります。

樹木希林は、自身のインタビューで「4,5歳~小学校高学年までずっとおねしょしていた。毎朝学校行前に布団を干すのが日課だった。

普通なら親は怒ったりするけど、食べて行くことに精一杯だったので叱られたことはなかった」と答えました。

樹木希林の両親はおねしょを怒ったりしなかったので二次的な問題は起こりませんでしたが、あるデータでは、子どもが夜尿症であることが「両親の離婚」や「争い」、「精神的外傷」をもたらすと認められています。

夜尿症は、病院で積極的に治療した方が、早く治る疾患です。

早く治せば治すほど、当然子供の自己肯定感も上がり精神的にも良いので、二次的問題の防止につながります。

夜尿症の原因は?

夜尿症の原因は、下記のようなことが考えられます。

〇抗利尿ホルモンの夜間分泌不足のため、夜間の尿量が多い。

〇夜間の膀胱容量が小さいため、溜められる量が少ない(不安定膀胱)

〇睡眠障害

〇心理的ストレス

〇膀胱や腎臓の器質的な異常

原因は複数みられることが通常で、「夜間の尿量が多い事」「夜間の膀胱容量が小さいこと」が原因になることが多いです。

尿意があっても脳が反応しないためおねしょになりますが、いずれ大人になれば反応するようになります。

夜尿症の分類とは?

夜尿症には一次性と二次性があり、以下のように分類されます。

〇一次性夜尿症

・生まれてからずっと続いている。

・発育が進むと自然に治ることが多い。

〇二次性夜尿症

・しばらくは大丈夫だったが、半年~1年以上間を空けてから再び始まった。

・引っ越しや塾などのストレスによる心理環境的な影響や、泌尿器官の問題、精神発育の遅延などが原因で起こるもの。

夜尿症の「おねしょ」以外の症状としては、糖尿が原因でよく喉が渇き、水を飲むなどの症状が見られます。

夜尿症の治療法とは?

では、実際の治療法を見てみましょう。

夜尿症の治療としては、大きく分けて、「生活指導」、「行動療法」、「薬物治療」があります。

生活指導

生活指導では、食事の内容や飲む水分量を指導したり、就寝前の排尿を促したりします。

日中の適切な飲水習慣も大切です。

特に夕食後から就寝時までの水分はコップ1杯までが良いとされています。

また、男児の場合、いわゆる立ちションより、座りションの方が尿を出し切りやすいので、おしっこをするときの姿勢にも気を付けましょう。

こうした生活指導が、便秘の改善につながる場合もあります。

行動療法

行動療法では、古くから夜尿アラーム療法が有名です。

オシッコが漏れた瞬間に音が鳴る仕組みで、自分で起きてトイレに行くのが良いとされています。

無理やり起こして連れて行く人もいるかもしれませんが、それは睡眠妨害にもつながるので、発育にも良くありません。

ギリギリまで我慢して膀胱が大きくなるのを待ち、それから自分で起きてトイレに行く方が良いです。

それぞれの治療法の効果は不安定ですが、薬物投与と併用することで効果がみられる場合もあります。

薬物治療

夜尿症では、尿量を調節する抗利尿ホルモンと同じような働きを持つ「ミニメントルCD錠」という薬が使われます。

副作用としては、腹痛や倦怠感、頭痛、吐き気などがあり、その他通常とは違う症状が出たらすぐ医師に相談しましょう。

学校・園ではどのような点に気を付けるべきか?

お漏らしをしてしまうことに対して、学校・園でできることを考えてみましょう。

まず、トイレの環境整備です。

きちんとプライベートが確保され、綺麗なトイレであれば誰でも進んでトイレに行くことができます。

お漏らしやおねしょ、夜尿症を病気と捉え、正しい知識を広めることが、イジメ対策にもつながります。

夜尿症と発達障害との関連とは?

夜尿症と関連のある疾患・障害の1つとして、発達障害があります。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、不注意、多動性、衝動性の3つの症状がみられる障害です。

ADHDの実に約3割もの人が夜尿症を併発しているとされています。

ADHDの場合、中枢神経の発達が未熟で、夜間の水分制限や排尿習慣を守りにくく、下着が濡れても感覚が鈍いなどの点から、夜尿症が治りにくいようです。

お泊り保育、林間学校、修学旅行はどうすればいい?

学校・園で宿泊を伴う行事がある場合は、事前に行事のタイムスケジュールに合わせてトイレに行く練習をしておきましょう。

練習を積み重ねることで、自信にもつながります。

もちろん、担当の先生にも事情は話しておき、シーツやパットなどのフォローをお願いしておきましょう。

パジャマも、濡れたことがわかりにくい色の濃いものを用意しておくのも良いですね。

まとめ

5歳を過ぎてもおねしょをするのは、「夜尿症」という病気です。

長引かせないためにも、早めに医療機関を受診しましょう。

おねしょをしている本人は、「恥ずかしい」という気持ちから周囲へ相談できずにいることが多いので、周囲の大人が気を配り、前向きな声をかけてあげましょう。

また、おねしょガイドラインと言う本もありますので興味のある方は一度読んでみても良いでしょうか。

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